24/9/2015

ある時、パリの夜、友達といて
道に落ちているゴミまで美しく崇高に見える瞬間があった

それを見る人の心の状態が、それをそのように存在させる
意識とは、不思議

写真は人の目を通してものを見る行為
実は素通りしてしまったかもしれないものを
他人の視点によってよみがえらせ再体験させる
すべてのアートとは、きっとそういうことなのかも

そこにはやっぱり、ある種の交歓があるのだ

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すべりこみで最終日に行ったwolfgang tillmansの展覧会

写真の持つ様々な可能性が、机上に、壁に
大いなる空白と静寂のリズムをつくりながら配置され
そのレイアウトの仕方見せ方が意表をつく
問いと答えの間にある無限の逡巡が、
時には全く関係も無さそうな素材と並べられることによって
遠近感と奥行きの感覚を掘りおこす
!がどんどん?にずれ込んでいって
そのまま問いが宙吊りにされ、はかなく微妙なものになっていく

かと思えばポートレートの、人々の無垢な笑顔
捨てきった表情や輪郭、うなじや腕や足、産毛まで
その仕草のひとつひとつに心が開く

新聞がコピーされて巨大に拡大され
すべてが点の集合体に分解され、その濃淡、大小によって
何かが意味をなしていくのだとわかるほど
私たちは作家の視点のすぐそばに立たされる

この展覧会では、いろいろな試みや写真や手法があるけど
やっぱり好きな写真は、群像であったりポートレートであったりするのだ
一瞬を紙に焼きつける芸術
ありふれたひとときを異形に見せるマジック

じぶんでは想像もしなかった視点を、
違う人の目を通して見るのは楽しい

 


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